会社の歯車に幸あれ

■ 仕事がない!


「歯車にすらなれていないと感じています。この組織にいても1ミリも成長できません。」


そう上司に訴えたのは、5年前のこと。育児休職から復帰して、新しくできた部署に配属になって1年。働き盛りのはずなのに、1年間ずっと仕事がなかった。やることがなかった。毎日、時計とにらめっこして、退社まであと3時間、2時間、1時間…いったいどうやって時間をつぶせばいいの??って途方に暮れてた。


仕事をしている実感も、会社に属しているという実感もない。会社にいるようでいない私・・・。


■ そもそも組織のミッションがない !?


仕事がなかったのは、休職明けの配慮とかじゃなくて、私の部署が明確な目的もないままに、外国の会社の真似をしてなんとなくできちゃった組織だったから、かな。


なんとなく組織ができて、組織をつくった張本人は、それを手柄に別の部署に行っちゃって。残されたメンバーは、来る日も来る日も組織のミッションを考えた。でも、考えても考えても、何も見えてこない。


それだけ自由度があったら、よし!何でもできる!って、やりたいことをやればよかったんだろうけど、そういう発想ができなかった。


受け身で仕事をするのに慣れ過ぎてたんだ。仕事は与えられるものではない、なんて言葉も知らなかった。


■ 不満のカタマリ


私は、そんな自分を棚に上げて、怒ってた。


目的もなく組織をつくるなんてありえない!
こんなに考えてもミッションが見えないんだから、解散した方がいい!


って、何度も何度も訴えたけど、そんなの聞いてもらえるはずもなく。みんなと仕事がしたくて復職したのに、何やってんだろ・・・って。ひとり灰色の世界にいた。もう会社を辞めようかなって。


■ そんな夜でも明ける


そんな矢先、私は異動になった。


私が上司に宛てた怒りのメールが転送されていたらしく、それを読んで「あいつを引き取る」って言ってくれた人がいた。当時、私の評価は最低だったはずで、そんな問題児のことを気にかけてくれたことは、感謝してもしきれない。


もっとも、当時の私はそんなことも知らずに、まだ怒ってたけど。「不満分子の私を組織の外に出しただけで、問題は何も解決してない!」って。


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私が新しい部署に移って、一番最初にやった仕事。それは、社内教育の案内を配信するというもの。定型のメールを送るだけの、誰にでもでできる仕事だったけど、私にはそれがすごくすごく嬉しかった。


復職以来、初めてまともに会社の輪の中で仕事ができた、と思った。ようやく人に必要とされる仕事ができた、って。


歯車に戻ることができた瞬間。


■ はぐるまであること


休職前は、自分が会社の歯車かどうかなんて考えたこともなかったけど、今思えば、何も考えずに超高速でクルクル回ってた。基本的に現状肯定型で、楽しく目の前の仕事をこなしてた。


この一件で、それじゃいかん!って教えてもらったんだと思ってる。クルクル回ってるだけだと、自分の目の前の現実を変えていく力がどんどんなくなっていっちゃうんだと思う。私なんて、結局、文句を言うことしかできなかったから。


私は別に自分が会社の歯車だっていいと思ってる。一つ一つの歯車がちゃんと回って、順番に力を伝えて、最終的に自分一人ではできないことができるってすごいことだから。


でも、願わくば、時々はちゃんと考えて、おかしいと思ったら回転の方向を変えたり、スピードを変えたりできる歯車になりたい。


というわけで、はぐるまタイムズ。


日々、感じたことを、ていねいに書いていけたらと思う。