はぐるま・タイムズ

サラリーマンになれないサラリーマンの話

「雇用を守る」は絶対なのだろうか

「心配しなくても10年後には定年退職でごっそり人が減るから」


雇用を守り続けるべきなのかと聞いた私に先輩はこう言った。でもさ、このまま10年経ったら、雇用を守っても中身はスカスカの会社になってると思うんだ。


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うちの会社は新型コロナの影響をもろに受け、業績が急降下。経営陣は「雇用は守る」と言い、社内ではそれを評価する声が多い。うちの会社には雇用を守れなかった過去があるから、今回雇用を守ると言ってくれてるのはいいことだと。


でも、この状況で雇用を守るっていうのは、雇われた人が100%の力を発揮することとセットなんだと思う。雇用を守ると言われて安心してる人ほど、変わらないといけないんじゃないかな。


コロナの影響が大きくなった3月、社内に経費削減の号令がかかった。今年度の予算はことごとく削るしかなく、計画していたことはほとんどできなくなった。私のいる人材開発部でも、お金のかかる研修は全部中止。


研修がなくなった分、今年度のうちの部署の仕事はすごく少なくなった。私は、そのまま自分のやりたいことができなくなるなんて悲しかったし、何より人材開発部が仕事をしなかったら、社員みんなの成長する機会が減ってしまうと思った。だから、お金をかけないでできることがないか、ない知恵絞ってる。他社の知り合いに声をかけて異業種交流を企画したり、海外の社員を講師にオンライン英会話をやったり。


でも、何もしない人たちもたくさんいる。だって自分の仕事が減ったままの方がラクだもん。


それはそれで、その人たちの考え方だし、もう何年もそうやって来たのだから、今すぐどうこうできるものでもない。でも、その人たちに払うお給料があったら、若い人のためにどれだけのことができるだろうか…と思わずにはいられない。


雇用を守るというのは、みんなの意識を変え、どんな人にも100%の力を出してもらうことだと思う。


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この数ヶ月、コロナで大幅に需要が減って、現場の人も仕事が減って在宅勤務になった。でも、ずっと現場で働いてきた人たちが在宅でできることはそんなにない。現場の人が時間を持て余し、生産に寄与できていないと感じる時間が長くなってしまうのが、私はすごくイヤだ。


売上が減ってもある程度は財務的に耐えられるのかもしれないけど、仕事がなかったら働く喜びはないから。


雇用を守るというのは、みんなが世の中に貢献してると感じられる時間を必死につくることでもあると思う。


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コロナ前のように需要が戻るかどうかも分からないし、戻ったとしても、10年に一度このレベルの危機が訪れる前提で経営をしなければならない。


うちの会社と同じくコロナで打撃を受けているアメリカの会社の人と話したら、社員はみんな必死だって言ってた。自分がいてもいなくても同じだと思われないように。


うちの会社だって一緒のはず。雇用を守るには、みんなで必死にならなきゃ。みんなで変わらなきゃ。


・・・なんだけど、社内で誰もそれを語らないことに私は危機感を持っている。