はぐるま・タイムズ

サラリーマンになれないサラリーマンの話

一年通ったビジネススクールで教わったこと

去年の4月、会社の先輩がビジネススクールに誘ってくれた。先輩が通っていて、私にもどう?と。特に断る理由もなく、私は直感でYESと答えた。


スクールは土曜日の午後。財務、経営、エネルギー、メディア・・・毎回さまざまな分野の一流の方が講師として来てくれた。生徒には会社から派遣されて来ている人と、私のように個人で通っている人がいた。年齢も国籍も仕事もさまざま。


「自分の市場価値を高めよ」というのがそのスクールのメッセージ。


私はこの言葉があまり好きじゃなかった。なんだか意識高い系みたいで。ただ、社内でアウトローに舵を切った私は「会社を去る」という選択肢も持っておいた方がいいんだろうなとは思ってた。「市場価値」という言葉はともかく、会社の看板がなくても個人で勝負できるようにならないといけないような気がして。


新卒で入った会社に16年も勤めてしまった私に、今さら個人で勝負できることなんてあるのか、そもそも、本当にやりたいことは何なのか、はっきりと言葉にもできなかったけど。


◆◆◆


ヒントがつかめたのはスクールに通い始めて9カ月の頃。その日は、エグゼクティブのヘッドハンティングをしている方が講師だった。「エグゼクティブ」も「ヘッドハンティング」も私には縁遠いワードだったけど、話してくれたのはシンプルなこと。


「35才までに何をしたいのかを考えなさい」から始まり、そんな年齢、とっくに過ぎちゃったけど…(泣)と思いながら聞いていると、「何をやっている時が嬉しいのか、一番幸せを感じるのか、探すといいですよ」と。その講師の方は「50才までに5回転職した人には会わない」とのこと。「そういう人は自分が何をやりたいか見えていないから」と。


この日から私は、仕事の幸せ探しをはじめた。そして、ほどなくして「これだ!」という瞬間が訪れた。


私の仕事は業務のカイゼン。ある職場では、現場出身のおじさんたちが、来る日も来る日も手書きのデータをパソコンに入力する仕事をしていた。私は、これを何とかしたかった。おじさんたちは、そんな毎日を送るために入社したわけじゃないと思ったから。だから、この業務をOCRで自動化することにして、1か月間おじさんたちにトライアルをしてもらった。


その結果・・・「すごく効果があったよ!」とおじさんたち。同じ仕事がこれまでの1/3の時間でできるようになったのだ。記念にみんなでパソコンの前でサムズアップのポーズで写真を撮った。おじさんたちは嬉しそうで、私は泣きそうだった。 


あぁ、これだ・・・!


この時はっきりと、分かった。私は、おじさんたちみたいに真面目に仕事をしている人の役に立てた時が幸せなのだと。


おじさんたちの困りごとを聞いて、使えそうなサービスを探して、何度も打ち合わせして、IT要件クリアして、決裁とって、契約結んで・・・それなりに大変だったけど、おじさんたちの笑顔が見れて、それはもうプライスレス!な瞬間だった。


◆◆◆


ビジネススクールの先生に「自分がどんな時に幸せなのか分かりました」とメールをした。その返信にはこう書いてあった。


「自分が幸せでいられる瞬間を積み重ねていくと、それが自然と市場価値向上にもつながっていくものなのですよね。その苦労、というか喜ばしい挑戦は、いまだけでなく、いつかより大きくなって自分に跳ねかえってくると思いますよ。」


この先、転職したくなるかもしれないし、ならないかもしれないけど、どんな時も、どんなところでも「喜ばしい挑戦」を続けていきたい。