脱・真面目で従順な組織人
読むのを躊躇してた本
- 作者: 冨山和彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2016/10/27
- メディア: 単行本
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去年の秋に発売された本。
冨山さんの本はだいたい発売されてすぐに読んでるけど、この本はちょっと迷ってた。タイトルを見て、これを読んだら一気に背中を押されて会社をやめちゃうかも、と思って。秋頃は、ちょっと先が見えない感じだったから。心に不満がある時は、自分の欲しい情報だけを拾いがちで視野が狭くなるから、ちょっと危険。
その後、私の企画を理解してくれる人が現れたり、海外研修に応募したり、異動を直談判したり、少しずつ視界が開けてきたから、ようやくこの本を買った。
結果、やっぱり読んでよかった!
会社なんて辞めちゃえ!っていう内容じゃなくて、組織に左右されずにしっかり自分の頭で考えて頑張れ!っていうエールのこめられた本だと思う。
いつも通りすごく勉強になった。
古くて大きな会社の役割
一番ズバッときたのはここ。
大事なことは、どうやって優秀な学生が古くて大きな会社に入らないようにするか、だと私は思っています。これは、国の政策として、とても大事なことです。
うちの会社は古くて大きな会社。
つまり・・・
うちの会社に本当に優秀な人は来てはいけない。
いや、なんとなく分かってたけどさ。ちょっと切ない・・・(泣)
言わんとしているところは、イノベーションを起こすような本当に優秀な人はベンチャーに入るなり、海外で起業するなりの道を選ぶべき、古くて大きな会社に入ってはいけない、ということ。古くて大きな会社は、そういう優秀な人がイノベーションを起こした時に、一緒にビジネスをしていけばいい、それが役割だと。
ごもっとも!
本当はさ、もしかしたらうちの会社にだって世の中を変えちゃうほどのイノベーションが起こせるかもしれない!って、0.000001%くらいは思ってた。
でも、そこじゃないんだな。求められてるのはそこじゃない。
うちの会社には、長年積み上げてきたしっかりとしたオペレーション基盤がある。これは新しい会社が簡単に真似できるものではない。あとは、タイムリーに外部のイノベーションを取り入れながら、変えるべきを変え、捨てるべきは捨て、ちゃんと新陳代謝をしていくこと。
うちの会社の課題
本当に優秀な人が、うっかり間違ってうちの会社に来ちゃうことはないと思うから、そこは心配いらない。ただ、新陳代謝を図るにもそれなりの人が必要。それもちょっと尖った人。
問題は、うちの会社はそういう人たちを活かせる体制にないこと。人材育成は横並びだし、どうしたって日々のオペレーションを支える仕事がメイン。新しいことをやろうにも社内の合意形成がめちゃめちゃ大変。そうこうしているうちに、優秀で尖っていた人がいつしか普通の人になっちゃうか、転職しちゃう。結果的に、従順なオペレータばかりの会社になって新陳代謝が起こせない。
転職していく人は、他社に派遣されてたり、海外に駐在してたり、外の世界を見てきた人が多い。外を見て、自分の居場所はここじゃなかった、って気づくんだと思う。
ある時、部長がみんなの前で「会社の代表として送り出してるんだから絶対に辞めてはならん!」って訴えてた。
気持ちはわかる。期待を込めて送り出したエースが辞めちゃうんだもん。そりゃあ、恨み節にもなるわな。
でも、正直、違和感あったな。
それ、みんなの前で言うことじゃないって思った。
だって、まるで器が小さい会社みたいじゃん。
うちの会社にいるより、他の会社に移った方が社会に貢献できると思ったなら、そっちに行った方が社会のためだし、本人のため。「辞めるな!」とか言ってる暇があったら、どうしたらうちの会社がもっと魅力ある会社になれるか考えた方がいい。
・・・って、部長に言えばよかった!
結局、私も組織の人間になってる・・・いかん!
来たれ、尖った若者よ!
最近、就職活動で学生さんが会社に見学に来てくれてる。先輩と後輩が仲がいいとか、お子さんのいる女性も元気に働いてるとか、そういう雰囲気は分かってもらえると思う。でも、会社の新陳代謝という点ではまだまだ発展途上。ぜひ尖った若者にも、うちの会社に来てほしいな。そして、その若者の可能性を潰さないように、普通の人にしてしまわないように、私たち中堅世代は頑張るべし!
脱・真面目で従順な組織人。