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はぐるま・タイムズ

組織の中でクルクルまわりながらキレイゴトを発信

思いがけず、ひとり飲みデビュー。

■きっかけ


「今の方針には賛成できません」


って、副本部長にメールを送った。


この数か月、管理職の人たちが集まって
うちの事業本部の向こう5年間の経営計画を考えてる。


本部長は、今やっていることをもっと極めれば、
新しい世界が見えてくる、と言ってる。


私は反対。
勝負のフィールドはもう別のところに移ってると思う。
今やってることを深めるより、新しい方向に舵を切りたい。


っていう風に色んな意見があって然るべきだと思うの。
なのに、偉い人たちがみんな本部長のイエスマンで、
全然、議論が尽くされてない。


だから、ちょっと自分の考えを副本部長に伝えようと思って。


副本部長からは「今度アフター5に話しましょう」って返信が来た。


■アフター5


という訳で、副本部長と飲みに行くことになった。
ちゃっかり自分が行ってみたかった居酒屋さんを予約。
予約は19時。


仕事帰りに、二人で電車で向かう。
隣の席でメールをチェックする副本部長。
ほどなくして、


「ゴメン、会社に戻ってもいい?」と。


見ると、iPhoneの画面にこんなメールのタイトル。


【緊急招集】○○事例


うわっ・・・まじかー・・・。
ま、しかたない。


「もちろんです!戻ってください。」って答えた。


18時45分のこと。


どうしよう、一人になっちゃった。
お店、キャンセルしようかな・・・。


って、ちょっと迷ったけど、
15分前にキャンセルなんて、そんなの勝手すぎるよね・・・
って思って、一人で行くことにした。


はじめてのひとり飲み。


■いざお店へ


あの・・・すみません。
2名で予約してたんですけど、相手が来れなくなっちゃって、
私一人でもいいでしょうか・・・?


って、おそるおそる聞く私。


かわいい女性の店員さんが、明るく
「もちろん!もちろんです!」って言って、
カウンター席に案内してくれた。


それから、カウンターの奥から、男の店員さんが
優しい笑顔で「一緒に飲もうね」って。


ホッとした。


■カウンターの中


カウンターの中には、お皿を洗う「まささん」と
お料理をつくる「かつひろさん」と「フクさん」の三人。
みんな名札をつけてたんだ。


忙しい時間帯だった。
団体のお客さんも入ってた。


私はサラリーマンらしく、とりあえず生を頼んで、ゆっくり飲んでた。
みんな忙しそうだから、おかわりを頼むのは
もうちょっと後にしよ、なんて思いながら。


でもね、お皿を洗いながら、まささんが、ちらっと私の方を
見た気がしたと思ったら、グラスが開いたタイミングで
「次は何飲む?」って声を掛けてくれた。
ちゃんと見ててくれるんだなぁ。


それと、カウンターの中の三人はみんな、
今、どこのテーブルにどのお料理が出てるか、
前のお料理が出てからどれくらい時間がたっているか、
ちゃんと頭に入ってるみたいだった。


かつひろさんとフクさんは、お客さんを待たせないように、
優先順位を考えて、次につくるお料理を決めてた。


お客さんに心配りをしながら、休みなくテキパキ動く三人を見ながら、
なんだか泣きそうになった。
みんなスゴイ。


■店長さん


お皿を洗ってた、まささんは、店長さんだった。
最初に一緒に飲もうね、って言ってくれた人。
私、ちょっと不思議だったから、かつひろさんに聞いた。


「店長さんなのにお皿洗うんですか?」って。


そしたら、いつもはもう一人店員さんがいるんだけど、
今日は休みだから、まささんがお皿を洗ってるんだって。


「店長は、いつもみんなの弱いところ、弱いところに、スーッと入ってくれるんっスよ」


なんだかステキだな。


■乾杯


みんな忙しいのに、私にかまってくれた。
住んでる町の話とか、OKストアの話とかしたなぁ。


私    「お皿拭いてるタオル、吸水力すごいですね」
まささん 「あぁ、これ?だってこれOKのだから!」
私    「だと思いました!やっぱOKですよね!」


なんのこっちゃ。単なる酔っ払い。(笑)


21時を過ぎて、お客さんが少なくなってから、
小さいグラスが5つ目の前に並んで日本酒が注がれたと思ったら、
そのうちの一つを私にくれた。


それで、みんなで「ひとり飲みデビューにカンパーイ!」って。


■食後に


楽しい時間はあっという間。
気づけば22時を回ってる。


そろそろ帰ろっかなって、お会計をすませたところで、
またお酒を出してくれた。


「食後酒ね」って。青森の田酒って言ってた。
おいしかったなぁ。


みんなが温かく迎えてくれて、ホントに幸せな夜でした。


一人飲みだったけど、全然独りじゃなかった。
ステキな出会いに感謝。


お酒もお料理もたくさんサービスしてもらっちゃったから、
今度は、誰かと一緒に行って、たくさん注文しなきゃ。


でも、本当はまた一人で行きたいな。